バスやタクシーに乗ると、運転手の名札がある。
珍しい名前の人もいる。
長女の話。
大阪市バスに乗ったら、珍しい姓の運転手だった。
「太郎良○○」
珍しいばかりか、好感の持てる楽しい名前だ。
いいんじゃないでしょうか。
いいのです。
それはいいのであるが、その、「運転手:太郎良○○」の名札の下に、もう一枚、札があった。
「名前について質問しないで下さい」
こ、これは?
太郎良さんが、紙にマジックインキで書いて貼り付けてるのではないのだ。
名札と同じ、正式の札なのである。
「太郎良さんって、変わってますね。どこの出身ですか?お国では、多いんですか?」
こういう質問をする客が多いのか。
運転中に聞かれて、答えてる最中に事故を起こしたことがあるのか。
降りる時に聞く客が多くて、ていねいに答えてたら、時間がかかって他の客から苦情が出たのか。
大阪市交通局が、太郎良運転手に、答えることを禁じるための措置であろうか。
あるいは、太郎良さんが、名前について質問されることを、子供時代から苦痛に思い続けていたのかもしれない。
小学校では、担任の先生が、学期の初めには必ず、「皆さん、太郎良君の苗字が変わっているからといって、質問したり、話題にしてはいけません。一年間のお約束ですよ」と言い聞かせていたのだろうか。
太郎良さんが、大阪市交通局に対して要求したことであろうか。
それにしても、名前のことは聞かないでと言っている人の名前のことを、話題にしていいものだろうか。
私は、非常識で心無いことをしているのかもしれない。
ここで読んだということは、ないしょにしてください。