新聞によれば、東大阪市の「宇宙開発協同組合」の理事長が辞任するらしい。
この組合は、「物作りの町」東大阪市の中小企業が「人工衛星を打ち上げる」ため作られたものだ。
「人工衛星」と聞くと、私たちの年代の男は胸が高鳴ると思う。
小学生のとき、ソ連の人工衛星「スプートニク」が打ち上げられた。
わけもわからず興奮した。
人間が作ったものが地球を回っている!
小さな球に、四本の足がついていた。
神秘的物体だと思った。
すぐに「ライカ犬」が打ち上げられた。
犬が宇宙を回っている!
何年か後、ガガーリンが宇宙を飛んだ。
無事地球に戻った彼は、「地球は青かった」と言った。
美しい言葉だ。
しかし、この時、「宇宙のどこを見ても神はいなかった」とも言ったそうで、信心深いアメリカ人はこの言葉にカチンと来たそうだ。
短歌にすれば角が立たなかった。
見渡せば神も仏もなかりけり広き宇宙の秋の夕暮れ
次は、女性初の宇宙飛行士テレシコワさんだ。
彼女の「ヤーチャイカ」(私はカモメ)という声は忘れられない。
この声の入ったソノシートを手に入れて繰り返し聞いたものだ。
雑音交じりに宇宙から聞こえてくる、テレシコワさんの「私はカモメ」にはしびれました。
「私はカモメ」という訳が良かったんでしょうね。
ほんとは、「アーアー、本部本部、こちらカモメ1号。応答願います。どーぞ」だったのだろう。
私にとって何十年たっても忘れられない女性の声は、このテレシコワさんと、高校1年のとき聞いたKさんのお姉さんの声だが、それはまた別の話だ。
そんなわけで、人工衛星には格別の思いがある。
何年か前、この「中小企業人工衛星計画」を聞いたとき非常にうれしかった。
技術力のすぐれた中小企業が力をあわせて人工衛星を打ち上げる!
すばらしー!と思ってハタと考えた。
どこで?
生駒山のふもとまで見ても打ち上げ場所はなさそうだ。
関係者に聞いた。
ロケットを打ち上げるのではなくて、人工衛星を作ってロケットに乗せてもらうと言うのだ。
注文があれば人工衛星を作ります。
なんじゃそれは。
そんなことならすでに、東大阪か大田区の企業で作った部品が飛んでいるのではないか。
弁当箱を飛ばしても「人工衛星」だ。
「中小企業が人工衛星」というキャッチフレーズで話題になったのですね。
「物作り」より「話題作り」だ。