若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

朝から雪が降り出した。

喜んで庭に出て駆け回ったりしない。
ポチじゃないから、庭の梅の木を見ていた。

久しぶりにたくさんつぼみがついている。
父が自分の部屋からよく眺めていた。
父が死んでから、あまり咲かなくなった。

主なしとて春な忘れそ、と梅に向かって言ってみた。
梅は、あんた教養あるね〜、と感心していた。

父が死んでも庭の雑草は相変わらずボーボーと生えた。
雑草は父が死んだ事がわかっていないようだった。

梅の木をつくづく見るのは今日が初めてのような気がする。
開ききった花が少し。
つぼみはたくさんついている。
小さな固そうなつぼみもあるし、ふくらんだ柔らかそうなつぼみもある。

なぜこういうことに今まで気づかず、今気づくのか不思議だ。
大げさに言うと、特別の瞬間だ。

特別の瞬間の立派なのが「奇跡」になるのではないかと思ったことがある。

どこで読んだか忘れたけれど、九条兼実が日記に書いている話だったと思う。
九条兼実法然上人に傾倒していた。
ある時、法然を自邸に招き、往生に就いて色々と話を聞いて感動を新たにした。

法然を見送って後姿を見ていると、法然の足あとに蓮の花が一つずつ咲いた。
蓮の花には、「南」「無」「阿」「弥」「陀」「仏」という字が浮かんでいた。

美しい話だと思った。
九条兼実が幻覚に襲われたと言うことではないだろう。
彼の法然上人に対する深い敬愛の情の表れだ。

こういう特別の瞬間はちょっとやそっとでは訪れませんね。
梅でも見ていよう。