若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「分裂するアメリカ社会」

麗澤大学教授堀内一史著。

この本を読む気になったのは、新聞の書評で「ブッシュ大統領を取り上げているが、凡百のブッシュ批判とはまったく違う」と書いてあったからだ。

ブッシュ大統領ほど、けなされコケにされている大統領はないだろう。
「顔が気に入らん」と言う私みたいな軽薄な無責任男から、彼を大学で教えた経験から、とんでもない男だと断言する日本人教授まで、ありとあらゆる人が批判している。
そういう「凡百の批判」と違うとなると、読んでみたくなるではないか。

私の悪い癖で、内容に入る前にあら捜しをしてしまう。

1ページの中で、「ブッシュは」と書いたり、「G・W・ブッシュは」と書いたり、「ジョージ・W・ブッシュは」と書いたりするのはやめてもらいたい。
ややこしー。
どれかが父親である元大統領かな、と思うではないか。

何の説明もなく、「エンタイトルメントという意識が貧困層に定着し」などという書き方はやめてもらいたい。
「エンタイトルメント」を知らないのがおかしいのかと思うではないか。

逆に「アメリカの夢」に「アメリカンドリーム」と言う説明は不要だ。
「蔓延る」と書いて「はびこる」と読ませるのもおかしい。

さて、著者は、「ブッシュがどのような宗教遍歴をたどったかを見てみよう」と書いてエピソードを紹介する。

「ブッシュは七歳のとき妹を失ったが、両親の深い愛情のおかげでそれがトラウマとなることはなかった。そこから命の尊さを学び、毎日を精一杯生きることの大切さを学んだ」
その他色々紹介しているが、すべて「ブッシュ自伝」からの引用であるのが不思議だ。
自伝に書いてあることを信用しているのだろうか。

面白い話もある。
ブッシュ家では、子供たちの教育のため、夏に別荘に著名人を呼んだ。
ある年、有名な牧師、ビリー・グレアムが呼ばれ、彼との出会いが後にブッシュ大統領に大きな影響を与えたと言うのであるが、なんとこの時ブッシュは39歳なのだ。
手のかかる子だ。

38歳の時には、アーサー・ブレシットという有名な伝道者と会って感銘を受けている。
この伝道者は、なんと3.6メートルの巨大十字架を担いで、30年間世界中を歩いて伝道して回った人だそうだ。

空飛ぶ十字架に乗って飛び回った人でないのがせめてもの救いだが、「凡百の批判」ではまだ足りないと思った。