若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

誇り高き男

テレビ番組の紹介で、「誇りを持って仕事をしている漁師達」と書いてあった。

初めて「誇り」と言う言葉を聞いたのは、小学校の卒業式だ。
校長先生が、「布施市立第四小学校の卒業生であることに誇りを持って生きてください」と言われたのだ。
当時の私にとって、校長先生の一言は非常に重大だったが、どうしていいのかわからなかった。

次に「誇り」と言う言葉を聞いたのは、中学の英語の授業だ。
先生が、「『誇り高き男』と言う映画を見に行ったんですが、英語の題名は『The Proud Ones』でした。『誇り高き男たち』が正しいのですよ」と言われた。
どっちでもえーがな、と思った。

次に「誇り」と言う言葉を聞いたのは、中学校の卒業式だ。
校長先生は同じようなことを言ったが、成長していた私は、鼻で笑ったのであった。

それ以後、誇りを持てと言われたことがないので、「誇り」については勉強不足である。

昔、ジミー・クリフという歌手の、「フーリッシュ・プライド」と言う曲を聞いた。「しょーもないプライド持ってたらえらいめにあうで」と言う歌だ。
私にとっては、「しょーもないプライド」という言葉の方がわかりやすい。

「誇り」「名誉」「自尊心」など、似たようなわかりにくい言葉だ。
林家三平さんが人気絶頂のころ、「豪邸」を建てて、インタビューされた。
「人気も、立派な家も手に入れて、後は何がほしいですか」と聞かれて、「名誉ですね」と答えていた。
このときも、わかったようなわからないような気がした。

子供のころ、リヤカーを引いてクズ屋のおばさんが来た。
母は「クズ屋のおばさん」と言っていたが、私にとっては「クズ屋のおばあさん」だった。
ある日、母が古着などを出して、おばさんとしゃべっていた。

おばさんの子供たちは皆一人前になっていて、息子は小学校の先生だった。子供たちの援助で食べていけるのだが、身体が動くうちはと思ってクズ屋を続けている。
ある時、息子が、「恥ずかしいからクズ屋をやめてくれ」と言った。
おばさんは、「なんちゅうことを言うんや!おまえたちはこれで食べさせてもらい、学校に行かせてもらって一人前になったんやないか。恥ずかしいなんて言うたらバチ当たるで」と叱りつけたそうだ。

私は「誇り」とか「自尊心」と言う言葉は知らなかったが、「おばさんは偉い」と思ったのであった。