若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

入学式シーズン

次女の幼稚園の入園式の写真がある。
満開の桜の下で、家内と、同じ幼稚園に通っていた長女と、三人並んで写っている。
次女は、うれしそうにニコニコしているが、不安も感じていたと思う。

この幼稚園に私も通った。
私は、この幼稚園の「第一期募集園児」である。
入園式の記憶は、塗りたてのペンキの匂いだ。
式のことはまったく覚えていないが、父がついてきたらしい。長女の入園式のとき、父が、私の入園式の様子を話した

子供たちがワーワー騒いでいて、どうなることかと思っていたら、先生が、「はーい、みなさーん、お手々をたたきましょう!」と言った。子供たちが手をたたき出し、だんだん静かになったので、「さすが幼稚園の先生!うまいもんだ」と感心したそうだ。
それが、私たちの担任の田中先生だった。先生の花のような笑顔と明るい声は、覚えていると言うより、私の肉体の一部になっている感じだ。
先生は、幼稚園の実際上の責任者と言う立場だったと思う。
田中先生と、ペンキの匂いのおかげで、入園式はいい思い出になっている。

小学校の入学式は、机の上を走り回る「悪ガキたち」に圧倒された記憶がある。
黒板には、「一年二組。永塚先生」と書いてあった。
赤や黄色のチョークで書いてあるのが、大変豪華な気がした。
永塚先生が、私たちに何か話しているとき、とんでもなく背の高いお姉さんが教室に入ってきて、先生に何か渡した。
先生は、六年生のお姉さんだと言った。
そのお姉さんは、小柄な先生より背が高く、私は、世の中にこんな背の高い女の子がいるのかと心の底から驚いたし、ちょっと恐かった。

暗い教室、汚い机、机の上を飛び回る悪ガキ、恐るべき巨女。
小学校の入学式の記憶は、不安に満ちたものだ。

中学の入学式は、体育館に集合したときのことを覚えている。
大きな紙に、クラス別に名前が書いてあった。
一クラスに何人か、名前に丸がついていた。
私の名前にも丸がついていた。
たぶん成績優秀者であろう、と思った。
母もそう思ったのであろう、担任の先生に質問した。
先生は、その丸は越境入学者の印で、特別の寄付が必要な人です、と言われた。

その後、私がたびたび犯す勘違いの始まりだった。