若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「大きな木」

石川文子編『大人を休もう』を拾い読み。
小学校の国語の教科書に出ている話を集めた本だ。
最初に、シェル・シルヴァスタインという人の「大きな木」という話が出てくる。

「リンゴの木があった。男の子がよじ登ったりして遊んでいた。リンゴの木はうれしかったが、男の子は大きくなって遊びに来なくなった。ある日久しぶりに来て、お金がほしいと言う。リンゴの木が、実を持って行くように言うと、男の子は全部もぎ取って行った。また久しぶりに現れた男は、家がほしいと言う。リンゴの木は、枝を切って作れと言う。次に現れたときは中年男で、疲れたので遠くに行く船がほしいと言う。木は、幹を切って作れと言う。年老いた男が疲れ果ててやってきたとき、切り株だけになっていた木は男を座らせてやる」

いやな話やなーと思った。
石川文子さんが、「訳者の洞察深い後書き」を紹介している。
「すべてを与える喜び」
なるほど。そういう読み方もあるのか。
私は、「すべてを奪い取る醜さ」「甘えと身勝手さ」を感じてしまったのだ。不徳のいたすところだ。しかし、自分の身にあった読み方だ。
マザー・テレサがこの本を読んで、「与える喜び」について語るなら、おとなしく聞きます。恥ずかしながら、私にはそういう読み方はできませんと、ひざまずいて懺悔します。

作者の想像力が感じられない。
木も男の子も、作者の道具にすぎない。
真実味がないし、ホラ話でもない。安直でお粗末な作り話だ。

男の子が金をせびったとき、「自分で稼げ」と言うべきだ。男が枝を切る時、木から落ちるとか、幹を切った時、木の下敷きになるとか、「あまり自分勝手だとさびしい老後になる」というような話にした方がためになる。

『大人を休もう』というのは、石川さんの主張だ。
「感動は心のビタミンです」
こんな安物の宣伝文句みたいな文章を読むと心に蕁麻疹が出る。
「疲れたときは、一休みしてこういう文章を読んで感動しましょう」というのですね。
「感動は、アルコールやドリンク剤より心に効きます」
これでは、「感動」は、今はやりの「サプリメント」ではないか。手軽で結構ですなー。

『大人を休もう』には、疲れたあなたに必要な、ビタミン、ミネラル、グルサコミン、コラーゲン、必須アミノ酸、深海鮫エキスなどがバランスよく配合されています。
ファイトー!いっぱ〜〜〜つ!『大人を休もう』!