若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

直立レッサーパンダ

二本足で立つレッサーパンダ風太くん」が話題になっている。

初めてテレビで見たときは、「おお!」と思ったが、その後、「レッサーパンダは立ちますよ。何を今さら」という各地の動物園の飼育係りの話を聞いて、レッサーパンダの奇妙な習性より、人間の奇妙な習性の方が気になった。

話題になっているということで話題になる。
話題にするために色々仕掛けている人がいるであろうし、話題を求めている人もいるのだろう。

子供が小さい頃、近くの遊園地にレッサーパンダがいた。
好感の持てる動物だと思った。もっと人気が出てもいいのにとも思った。

風太くん」の立ち姿を見たとき、ちょっと馬鹿にされているような気がした。
人間のまねをしてからかっているのではないか。
あんたたち、こんなんですよ。あんまりかっこいいことおませんな。

たしかに、人間とか猿は、あまりかっこいい動物ではなさそうだ。動きに柔軟性がなくぎこちないし、色もぱっとしない。
何年か前、家内の伯父が飼っていた大きな秋田犬が走る姿を見て、美しい!と感動した。大きな動物が走るのを間近で見ることがないからだろう。

「全動物美男美女コンテスト」があったらどうか。
審査員は、公平を期して神様。

キリスト教ユダヤ教の神様は自分に似せて人間を作ったというのだから、キリスト教ユダヤ教の神様が審査員なら人間有利。
しかし、ヒンズー教だか、クシャナ教か、ジャイナ教か、象とか鳥みたいな神様がいるから、そういう神様が審査員だと、象や鳥が有利だ。
いくら神様でも、やはり自分に似たものを選ぶと思う。

人間は二本足で歩くのになれている。
『地面の底が抜けたんです』という本がある。
戦前、娘時代に「ライ病」(ハンセン氏病)だと宣告された女性が書いた本だ。
宣告されたときの気持ちが題名になっている。

年老いた彼女は島のハンセン氏病患者の施設で暮らしていた。
歩行もままならない彼女を、同じ患者のおばあさんが訪ねてくる。
海を見に行こうと言うのだ。

二人で汗だくで歩いて行く。
砂浜へ降りるところまで来て彼女は絶望的になる。
階段を上らなければならないのだ。

海は見たいが、あきらめて帰ろうと立ちすくんでいたら、誘ったおばあさんの声が聞こえた。
「なにをしとるんや!」

見ると、おばあさんは四つんばいになって階段を上がっていた。