若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

『説教と説教者』

「若草鹿之助商店面白くなさそうな本を読んで面白いところを見つける事業部」の活動が活発だ。

著者ロイドジョンズ博士は、ウエストミンスターチャペルで三十年にわたって説教を続けたイギリスでは非常に有名な人だ。
著書も多く、『山上の説教』『試練の中の信仰』『御霊に満たされることの意味』など当事業部を刺激するものばかりだが、中でも『霊的スランプ』はぜひ読んでみたい。

『説教と説教者』はウエストミンスター神学校で行った講義をまとめたものだ。

序文で、「私は人の説教をあまり聞いたことがない」と書いてあるのがうれしい。カックンときて期待がもてる。

現代は説教者にとって困難な時代だそうだ。
「聖書」の権威が落ちているのでやりにくい。
そして、イギリスでは「雄弁」がはやらない。
これは1920年代のイギリス首相ボールドウインの責任だそうだ。

彼のライバルはチャーチルなど名演説家が多く、雄弁でなかったボールドウインは雄弁家は信頼できないというイメージを作り上げたというのだ。
雄弁ではなかったが説得力はあったようだ。

500ページ近いこの本には色々参考になることが書いてあるが、「繰り返しについて」は誰にも切実だろう。
ここに書き始めて三年目の私でさえ同じことを書くのだから、毎週、聖書だけを題材に話す説教者が同じ話をするのは当然だ。

著者は自分で感動しなくなったらやめなさい、同じ教会で同じ話はやめなさいと言っている。

同じ話を二十回はしないと完成しないという人もいるが、著者は説教は芸ではないから賛成しないと書いている。

ある教会が有名な説教者を招いた。
演題は「わが子よ、キリストの兵士として苦しみに耐えてください」
感動的であったので翌年も招くとまったく同じ話をした。
どうかと思ったがやはり感動的だったし、いくらなんでも次はだいじょうぶだろうと翌年も招くとまた「キリストの兵士として苦しみに耐えてください」だった。
信者達は苦しみに耐えたそうだ。

人気説教者には、「おっかけ」もいるそうだ。
ある説教者が、「おっかけ」の一人に、「先生、今日の説教を聞くのは三度目です」と言われた。
むかっとして、「あなたは私の言ったことが実行できているんですか」と言うと、相手は黙りこんだ。
「そうでしょう!あなたが実行できるまで何度でも聞かせますからね!」