若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

絶叫

「ギャー!」

さきほど、家内の絶叫が、広大かつ重厚な造りの我が家を震わせて響き渡った。

ご心配なく。
「ヤモリ」ですよ。

最初この絶叫を聞いたときは、何事かと驚いてすっ飛んでいったが、いまはもう慣れてしまった。

洗濯物を干そうとドアを開けたらヤモリが入ってきたのだ。
いつものパターンである。
ヤモリを指差して家内が少女のように、と言うか乙女のようにと言うか、う〜ん、なんと言うかはまた後でゆっくり考えるとして、とりあえずふるえているわけです。

で、壁や床を逃げ回るヤモリを、私は悠然かつ機敏に捕まえて外へ放す。
手で捕まえたときのヤモリの「ゴム感」がいい感じである。

この時期、我が家の外壁に、ヤモリが現れる。
私は爬虫類趣味はないが、壁をはうヤモリはなんとなく好きだ。
垂直方向に動くのがいいし、身体は柔らかそうだし、動きが敏捷だ。

私の母は、こういうものをこわがらなかった。
子供のころ、ヤモリやクモやトカゲをこわがる私に、母は、「かみつきもしないし、刺すわけでもないものをどうしてこわがるの」と言った。
私は、「それはそうだけれども」と思った。

先日、インターネットで「かべちょろ」というハンドルネームの人を見かけたとき、突如思い出した。
母はヤモリのことを「かべちょろ」と呼んでいたのだ。

びっくりすると同時になつかしくもあり、「かべちょろ」さんにメールを入れたら、北九州の人で、ヤモリをそう呼ぶのだそうだ。

なるほど、母は小倉の出身だ。
五十年近く忘れていた「かべちょろ」の謎が解けたのであった。