若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

シェーッ!

『赤塚富士夫のことを書いたのだ!!』を読んで、はじめて赤塚不二夫に関することをいろいろ知った。

大学の頃、「おそまつ君」「バカボン」「もーれつア太郎」と、一冊だけわけのわからん「めちゃくちゃナンバーワン」というのを買っただけで、あとは大して面白いと思わなかった。
その四つを繰り返し読んできたのであるが、作者のことを知りたいとは思わなかった。

漫画家が、編集者やアシスタントの協力で作品を仕上げるというのは知っていたが、その「協働」ぶりは私が思っていた以上だ。

「おそまつ君」で、赤塚不二夫が描いた登場人物は、おそまつ君とその親くらいだそうだ。
赤塚不二夫が、「フランス帰りをひけらかすいやみなやつを出そう」と言うと、高井研一郎という人がサラサラと描いて、「こんな感じでどうですか」という風に「イヤミ」が出来上がったそうだ。
他の登場人物もそうだと書いてある。

まさに「シェーッ!」と言うほかない。
話の筋も、スタッフがわいわいがやがやと話しているうちに出来る。
赤塚不二夫」という名前は個人の名前ではないのだろう。

「おそまつ君:製作:赤塚プロダクション」という感じだろうか。

私は、「赤塚不二夫が好き」なのではなくて、「赤塚プロダクションが好き」だったのか。
しかし、「赤塚プロダクションが好き」というのはなんだかしっくりこない。
と言って、「赤塚不二夫が好き」と言ったのでは、高井研一郎さんやその他の協力者達に悪いような気もする。

昔のヨーロッパの油絵や日本画は、工房で大勢で製作して、「製作総指揮ルーベンス」という感じだったそうだから、何かを個人で作って、その人の名前が大事がられるということがヘンなことなのかもしれない。

この本で一番印象に残ったのは、売れる前の赤塚不二夫つげ義春と交流があったということだ。
まったく接点がなさそうな二人が、下宿でよく漫画論をたたかわせたという。
過ぎ去った若き貧乏時代というのはいいですな〜。