若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

内林政夫『数の民俗誌:世界の数・日本の数』

オビには、「日本人は数が嫌い?松、竹、梅、上、中、下などの数を使わない表現を用いるが・・・諸民族の数とかぞえ方の秘密を探る」と書いてあって非常に興味をそそるし面白そうであるが、この本は文庫本ではない。

文庫本でこのテの本は、一頁に一つの話題を読みやすく書いてあるかわりに、読み終わっても何にも頭に残らないことが多い。この本は本格的である。
中身はおもしろい。
と思いますが、私にはおもしろがるだけの力がない。

著者は、武田薬品の研究員から取締役になった方で、幼稚園の頃、ドイツ語の歌のレコードを繰り返し聞き、長年にわたり外国語(英、独、伊、蘭、仏、中・・・)と付き合い、アメリカ、ドイツ、フランスに住み、諸外国(37カ国)を繰り返し訪れ、その間、見、聞き、考え、読み、書きとめたことをもとにこの本を書いたのだから、そう簡単には楽しめませんよ。2600円出してこの本を買って、ちょっと楽しもうなんて、あつかましい話だ。
弁当などに「松、竹、梅」があるのは、日本人が数字を嫌っているしるしだろうか。細かい差を作って喜んでいるしるしのように思える。

ホテルの部屋が、「205号」「618号」なのに、旅館は「富士」「浅間」「桜」だということであるが、何百室の大旅館でもそうだろうか。

第一章のこのあたりまではついていけた。うしろに大変な量の参考文献が挙げられているのを見て、ついていけないはずだと納得した。

後書きで、この本を読んだ数学の大家の感想を紹介してある。
「内容が豊富なのが何よりの長所であるが、逆に気楽に読みこなすことができない。文庫本のほとんどが暇つぶしのための、内容のないものである現状からすれば・・・極端に言えば、内容を半分にして、ページ数をそのままにしたほうが売りやすいであろう」

私の意見と数学の大家の意見とが一致しているのでうれしかった。
この本を読んでよかった。(^o^)丿