若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

王様のニックネーム訂正

きのう、ハロルド美髪王はツルピカだったのではないかと書いたが、ちがうようだ。
ストレートに「禿頭王」と呼ばれた王様がいる。
ノルウェーのハロルド美髪王はきっとほんとに美髪だったのだ。
失礼しました。

西フランク王国の「禿頭王シャルル二世」。
王冠を頭に乗せようとしてもツルツルすべってうまく乗らないのでおかんむりだったというようなことは書いてなかった。

シャルル二世の子がルイ二世であるが、ルイ二世は「吃音王」と呼ばれている。
西フランク王国の人に聞きたい。
自分の国の王様になぜこんなニックネームをつけるのだ。

時代はずっと後だが、ハプスブルグ家のフリードリヒ三世は「美王」と呼ばれた。
この人はひょっとするとツルピカかもしれない。
「美髪王」の「髪」が抜けて「美王」。
しゃれたニックネームだ。

ツルピカ頭で思い出すのは高校の美術のT先生だ。
ニックネームは「でかさん」。
ツルピカででかかった。

私たち美術部員の絵を情熱を込めて批評した。
熱弁をふるう。
でかさんには「正しい絵」というものがあるのだった。
何が「正しい絵」なのか私にはわからなかった。
「正しくない絵」は猛烈に攻撃した。
許せん!という感じであった。

猛烈に攻撃した後で、「このクソオヤジのはげ頭に石でも投げつけるつもりで描いてみろ!」と私たちを挑発するのが常であった。

一年先輩のYさんが百号の絵を描いたとき、でかさんは激しく非難した。
「この大きな画面で美しいのはここだけだ!このはがきくらいの部分だけだ!切っちゃえ!切れ!」

翌日、美術室に入った私は驚いた。
Yさんの絵のその部分が切り取られていたのだ。
床に置かれたYさんの絵の具箱には、「○月○日、でかさんの説教忘れるな!」と書いてあった。
Yさんは脳腫瘍に犯され若くして亡くなった。

当時、大阪府内の高校の美術展が毎年天王寺美術館で開かれた。
教育委員会の新聞だったかにその評が出る。
新聞は美術室の入り口に張り出される。

ある年、でかさんが評を書いていた。
タイトルが、「玉磨かざれば光なし」。
でかさんが努力の大切さを熱く語っていた。

新聞が張り出されてしばらくして、誰かが「玉」の前にペンで「あ」という字を書き加えた。
「あ玉磨かざれば光なし」

でかさんが激怒、ツルピカ頭から湯気を立てて、「切れ!」と叫んだかどうかは忘れた。