若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

うつくしいもの

駅のポスター。

「日本の心:入江泰吉相田みつを展」

入江さんの大和風景の写真と相田さんの色紙が組み合わせてある。
相田さんの字は不思議だ。
最初に見たときから、見あきた字だと感じた。

高校の美術部で時々展覧会をした。
案内の看板の字を、誰が書いても相田さんの字みたいになる。
我が校の伝統だ。
ヘタなのをごまかそうとするとどうしてもそうなる。

美術部の顧問のT先生は非常に厳しい人だった。
あるとき、案内の看板を見て、「どうしてこんな性格破綻者みたいな字を書くんだ!」と怒った。

さて、「入江泰吉相田みつを展」だ。
性格破綻者じゃなかった詩人の相田さんの見あきたじゃなかった見なれた字を読む。

「うつくしいものを
 美しいと思える
 あなたのこころが
 うつくしい」

そうきたか。
手は読めている。
速攻!

「みにくいものを
 醜いと思える
 あなたのこころが
 みにくい」

この返歌はヘンか?
相田さんの詩と似てるでしょう。
似てるのじゃなくて、そっくりなんですよ。
相田さんの詩を鏡に映すとこうなるのです。

「うつくしいものを」と書いた色紙を鏡の前に立てると、鏡の中は「みにくいものを」となります。
(試さないでください)

いろんなバリエーションが考えられる。

「うつくしいものを
 美しいと思える
 あなたのこころはあたりまえ」

最後の行は、「あなたのこころはあたりまえだのクラッカー」のほうがいいかもしれない。
推敲の余地あり。

「うつくしいものを
 美しいと思えない
 あなたのこころは狂ってる」

「うつくしいものを
 美しいと思える
 あなたのこころが
 うつくしいと思える私はえらい」

参考のため、この詩について他の人がなんと言っているかインターネットで調べてみた。
驚いたことに、ほとんどの人が、
「美しいものを/美しいと思える/あなたの心が美しい」と書いているではないか。

詩をなんと思っているのだろう。
言葉を大事にしてほしい。
あんまり腹がたったので、メールを入れた。
「ひらかなと漢字を使い分けた相田さんの苦心がわからんのか!」

返事が来た。

「いいじゃないか
 どっちだって
 人間だもの」