朝のバス。
おしゃべりな運転手である。
たまにこういう人がいます。
バス停に着く前から、待っている我々に向かってマイクでなにか言ってる。
「学園前駅まで200円でございます」
ドアが開く。
「続いてご乗車願います。続いてご乗車願います」
客が乗ったと思ったら、「座席にお座りください。え〜座席にお座りください」と繰り返す。
そう繰り返しながら、いつもいっしょになるかなりの年配の女性があたふたと後部座席に歩いているのに、発車。
お年寄りが座るまで待てばいいではないか。
次のバス停では、「学園前駅まで170円」と告げていた。
カーブを曲がる時には、「大きく曲がります。お〜きく曲がります」
わざと大曲りをしているように思う。
学園前駅に近づくと、「早朝から奈良交通バスをご利用いただきましてありがとうございます。お勤め先、また学校へ、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
これだけ真心を込めてあいさつされても、客はむすっとして降りていく。
心の中では、私と同じようにニヤニヤしてるのか。
うわっ。
降りると、改札口の前におなじみの県会議員のTさんだ。
「え〜、皆様、おはようございます。わたくし、県会議員のTでございます。市会議員のYともども、朝のごあいさつをさせていただいております。早朝からのご通勤ご通学、まことにご苦労様でございます。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
こういうのを、前門の虎後門の狼、と言うのではないと思う。