「パパ」「ママ」という呼び方、というか、呼ばせ方が問題になった時代があった。
「日本人なのになんだ!」ということだったと思う。
そういう、美しい日本語を守ろう、とか、大和魂を守ろうというような意見は、あっという間に粉砕され木っ端微塵に打ち砕かれ踏みつけられ忘れられてしまった、と思う。
今でも言ってる人いるんでしょうか。
高校のとき、社会科の先生が授業中に、「キミたち、パパとかママとか呼ばせたらダメですよ。パパちゃん、ママちゃんになったらおしまいですよ」と言った。
当時、パパになることは想定外であったから、そう言われても、よし!呼ばせないぞ!とか、呼ばせてもいいじゃないかとか考えもしなかった。
先生の空振りであった。
完全な空振りであるのに、なぜ覚えているのだろう。
このS先生の言葉で覚えているのはこれだけだ。
毎朝バス停で会う女性の姿が昨日なかった。
朝早くから夜遅くまで、娘さんの家の留守番をしている人だ。
この人だけは毎朝同じバスなので気になった。
今朝早速、昨日どうしたのか聞いてみた。
「昨日は泊まったんです。孫が大学受験で、ママとホテルに泊まったんで。家が、パパと男の子二人なるんでね。男ばっかりじゃねえ。で、私が泊まったんです」
「ママ」と「パパ」に、ほんの一瞬ではあるが、頭がこんがらかりそうになった。
私に話すのに、「ママ」「パパ」はおかしいと思う。
どういう視点から出る言葉であろうか。
私の身になってくれているのではないと思う。
「孫中心宇宙観」によるものであろうか。
まあ、そんなたいした問題ではないだろう。
この方にふさわしい言い方だと思った。