若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ニュージーランド

直木賞作家の藤原伊織さんが亡くなった。

私の高校の美術部の一年後輩である。
彼は、二年生になって、美術部をやめたので、つきあいは浅い。

東大に入るため勉強に専念する、と言ってやめたのだ。
大見得を切ってやめたくせに東大に入れなかった、というなら、私の青春の一ページを飾る楽しいエピソードになったのだが、東大に入ってしまったからしゃれにならない。

三年の時の同級生、W君といっしょだ。
W君は、東大に入るまで髪の毛を伸ばさないといって、ツルツル坊主で三年間過ごし、あっさり東大に入ってしまった。

W君と藤原君は、しゃれにならない東大二人組だ。

どんな絵を描いていたか、全然覚えていないが、藤原君と言えば、ニュージーランドだ。

彼が一年の時、「ニュージーランドのイメージを描いてニュージーランドへ行こう!」という、絵のコンクールがあった。
どういうイベントだったのだろうか。

美術部員も何人か応募した。
彼が一等賞に選ばれてニュージーランドに行ったのだ。
昭和37、8年のことだから、海外旅行は一大イベントである。

美術部で、「帰朝報告会」みたいなのがあった。
彼が撮影してきたニュージーランドの町や風景を、美術室でスライドで映した。

美術部の顧問の先生が、スライド好きだったのだ。
先生のヨーロッパ旅行のスライドや、私たちの作品のスライドもあった。

暗幕で暗くした部屋で、ニュージーランド風景を見た。
特に印象に残る映像や話があったわけではないのに、スクリーンの横に立って説明する藤原君の姿は、はっきり浮かんでくる。

久々に、私の脳に聞きたい。
なぜこんなことを覚えているのだ。