NHK教育テレビの「日曜美術館」で、チョコレートをテーマにした美術展を紹介していた。
たいした意味のない、無理な企画ではないかと思ったが、出品作品を見ると、私の予想は当たっていた。
子供のころ、チョコレートは、高級品であった。
東京のおじさんから届く、歳暮のチョコレートを、妹と首を長くして待っていた。
母は、近所の市場で、いつも「くずチョコレート」を買った。
「くずチョコレート」という商品名ではありませんよ。
あれは、なんだったのだろうか。
板チョコのできそこない。
白く粉を吹いていて、ムチャクチャにかたかった。
子供のころの一番いい思い出は、チョコレートに関するものだ。
父が一杯機嫌で帰ってきて、コタツに入っていた私と妹に、「『エイッ!』て、言うてみ」と言った。
なんだろうかと思いつつ、妹と、「えい」と言ったら、父は、コートのポケットからぱっと板チョコを出した。
おお!チョコレート!
父は、「もういっぺん『エイッ!』て、言うてみ」と言った。
前よりも張り切って、「エイッ!」と言ったら、またもや、ぱっとチョコレートが出てきた。
それから妹と、「エイ、エイ、エイ」と調子に乗って叫び続けたら、次々とチョコレートが出きた。
夢を見ているようであった。
パチンコで大勝ちしたんですな。
「チョコレート展」では、チョコレートの原料、カカオ豆の産地で働く人たちを紹介していた。
低賃金で厳しい労働に従事している。
子供も働いている。
そういう人たちにも、まともな賃金を払えるような貿易の仕組みを作る運動がある。
「フェア・トレード」
「公正な貿易」か。
アジア、アフリカなどの農産物は、ほとんどその対象になりそうである。
最近、新聞やテレビで紹介されることが多い。
ココナッツ農場で働く男の子に、インタビューしていた。
「キミは何歳?」
「ここのっつ」
「え〜かげんにしなさい!」
「ほんとにネッ!」