若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「二階から目薬」

非常にポピュラーな言葉だ。
と言って、自分で使ったことはないように思う。

今朝、電車を降りて、改札口を出るところから、私の前を中年女性が歩いていた。
しばらく歩いて、彼女の頭が、くいっと、うしろにかたむいた。

何かを飲む動作のようだった。

すぐまた、くいっ。

歩きながら、缶コーヒーでも飲んだのか。
ちがった。

歩きながら目薬を差したのだ。(-_-;)

うまく入ったかどうか、気になる。
ハンカチを取り出して、顔をふかなかったところを見ると、全量、入ったのだろう。

歩きながら、全量入れられるほど、大きな目なのだろうか。
ひょっとすると、うまく入らなかったのに、ふかないので、顔は目薬でべちゃべちゃかもしれない。

私は、足を速めて、今、彼女の顔がどういう状態になっているか、前に回って確かめようとしたが、私の足音が速まったのに気づいたか、彼女も速足になったので、私はもう一段スピードアップして小走りに前に回ろうとしたが、敵もさるもの、そうはさせじと駆け出したので、追いつ追われつ、全力疾走する二人の足音が、早朝の駅前商店街に高らかに響いたのであった。

商店街を出たところで振り切られたので、あきらめて神社のほうに向かった。
いつも私の前を行く中年男性が歩いていた。

この人の歩き方には特徴がある。
ペッタラペッタラと歩く。
地に足が着いていないというか、気合が入ってないというか、もうちょっとまじめに歩きなさいといいたくなる。

鳥居の前で左に曲がるのだが、今朝の彼は曲がらず、鳥居をくぐって参道をペッタラペッタラと進んだ。

私は左に折れて、神社に沿って歩いた。
歩きながら、拝殿のほうを見たら、彼は鈴を鳴らして、手を合わせ、深々と頭を下げた。

私は拝殿に近づき、神妙に頭を下げている彼に、あんなに気楽そうにペッタラペッタラ歩いてるのに、なにか悩みでもあるんですかと聞こうと思ったがやめた。