セミの季節である。
ウチの庭にケヤキの巨木があって、毎年セミが群がっている。
ウチの巨大な門から庭に入ると、セミたちが、ウワ〜〜ンと飛び回って歓迎してくれる。
ウチの門は、バッキンガム宮殿みたいな門です。
時々、ウチの門の前で記念撮影してる人がある。
そういう時、私は衛兵の衣装を着てサービスする。
近鉄学園前付近で、バッキンガム宮殿の衛兵みたいなかっこうをしてる男がいたら、それは私ですのでお気軽にお声をおかけ下さい。
何の話か。
セミだ。
門を入ると、ケヤキのセミだけでなく、地べたのセミも飛び立って歓迎してくれる。
地べたで寝転がってるセミが多いのだ。
足音を聞くや、寝転がっていたセミたちが、「失礼しました!」と言わんばかりに、ビヤ〜〜ン!と飛び立って歓迎する。
セミたちの歓迎が、私はうれしいのであるが、家内や娘たちはいやがる。
門からドアまで、数百メートルの距離を、セミを避けて身をかがめて走ってくる。
昨日は、長女が駆け込むと同時に、セミが入ってきて、ビャ〜〜ンと二階に上がった。
私の出番である。
蛇はダメだが、ハエやカ、セミ、ヤモリは大丈夫。
捕まえられます。
昨日も、二階の廊下に四つんばいになってるセミを、むんずと捕まえた。
「うえ〜ん」と叫んでる家内や娘の、賞賛の視線を意識しながら、セミを表に放す。
ライオンをしとめたマサイ族の戦士のような気分である。
毎年、庭にセミの抜け殻を見つけると、もうすぐ夏だなと思う。
セミは、殻をすっかり脱いで出てくるのだから、裸なのだろうか。
半透明の羽をまとっているから、完全に裸とはいえないように思う。
厳密には、セミヌードというべきだろう。