ヤマハを代表する危険なバンド、「ザ・ビンテージ・グッズ」の中で最も危険な男、ボーカルのY森さんが手術を受ける。
左わき腹の、リズム感を狂わせる盲腸が、化膿しているのが発見されたためである。
きのうが、手術前の最後のレッスン。
成功を祈らずにはいられない。
かと思えば、「ザ・ビンテージ・グッズ」のリズムを支えるはずが、時々支えそこなう、耐震強度偽装ドラマーIさんが、先月手術で入院していたそうだ。
Iさんは、時々、原曲を無視して、猛スピードでたたくことがある。
のんびりたたくこともある。
たぶん、今回の手術は、速度調節機能に関するものだったと思う。
Iさんの手術の結果は聞いていないが、二人の手術が成功した暁には、「ザ・ビンテージ・グッズ」は見違えるようなバンドとして生まれ変わるかというと、そうはいかない。
私が未手術のままだ。
「突発性指関節痙攣症」をなんとかしなければならない。
きのう、Y森さんは浮かぬ顔であった。
手術の好きな人はいない、と思うのは、素人の浅はかさ。
通っている整骨院で、先生と、70代と思える男性が話をしていた。
男性が、これまでに受けた手術の話をした。
先生が驚くほどである。
「いろんな手術してはるんですねー!」
「ワシ、手術好きですねん」
きのう、レッスンが終わって帰宅後、この前の発表会のビデオを見た。
一ヶ月ほど会えないし、手術の成功を祈って、Y森さんの雄姿を見ておこうと思ったのである。
「いとしのエリー」
何度見ても、しみじみする。
「いとしのエリー」を、これほどまでに苦悶の表情で歌った人はないであろう。
私も、家内から、ギターを弾いてるとき恐い顔をしてる、と言われる。
「ニコニコしながら弾けないの?」
「弾けません」(キッパリ)
私は、ギターだからまだマシだ。
指はひきつっても、顔はひきつらない。
「怖い顔」程度ですむ。
Y森さんは、歌うのだから大変だ。
この、悶絶寸前の顔を見たら、桑田さんは頭を抱えると思う。
なぜこんな曲を作ってしまったのか、胸をかきむしり、罪作りな己の身を、祭壇の前に投げ出し、神の許しを乞うであろう。
横で見ていた家内が、「いやあ、やっぱりY森さんはいいねぇ」
よせ!
そういうバカなことを言うからY森さんが・・・。
夫婦喧嘩になってしまった。