酒を飲んだ帰り電車で寝てしまうことがある。
若いころはかなり飲んでもだいじょうぶだった。
50を過ぎてから時々寝てしまう。
しかし、私の家は近鉄奈良線学園前なので、大阪で飲んで乗り過ごしても終点の奈良まで10分足らずだ。
そう悲惨なことにはならない。
皆さんいろいろ経験してますよ。
高校時代の友人A君の広島勤務時代の話は悲惨だ。
岡山で会議があった。
帰りの新幹線で寝てしまって気がついたら博多だった。
B君は、気がついたらビジネスホテルの一室だった。
そのホテルに泊まった記憶はなかったという。
C君は、近鉄大阪線の見知らぬ駅の近くの草むらで眼をさましたことがあるそうだ。
こうなると悲惨というより危険ですね。
D君は、大阪の環状線で寝てしまった。
環状線は私が子供のころは城東線といった。
大阪城の東を走っている。
おとなたちが「省線」というのが不思議だった。
かなりあとになって戦前の「鉄道省」の「線」だと知った。
子供のころ「呼びかた」で不思議に思ったことがもう一つある。
近くの道路を、近鉄バスが走っていた。
お年寄りたちが、「バス」といわずに「パス」という。
この謎は解けなかった。
「城東線」がいつごろ「環状線」になったかおぼえていない。
環状線で寝てしまったD君は、博多とか青森とか遠くに行かないですんだという点では悲惨ではなかったが、グルグルまわり続けたという点では悲惨だった。
時々、目はさめたらしい。
「あ、森之宮か」とか、「あ、天王寺か」とか、「あれ?また森之宮か」などと思ったそうだ。
3時間ほど、グルグル乗り続けていたらしい。
「結局、キミは何回くらい環状線まわったんや?」
「そんなこと、勘定せん」
「えーかげんにしなさいっ!」
「ほんとにねっ!」