電車の切符を買わなくなった。
ほとんどカードで乗る。
便利だけど、頭を使わない。
まあ、頭を使うといっても、路線表で駅を探して、料金を見るだけだけど。
そういえば昔も、頭は使わなかった。
窓口で行き先をいうだけだった。
昔々、大阪市電の主な停留所には、切符売りのおばさんが立っていた。
たしか、おばさんたちは、十枚の値段で十一枚買える回数券を買って、それをばら売りして、一割もうけていたのだったと思う。
おばさんに、行き先をいうと、切符を渡しながら、「何番の市電に乗って・・・」と教えてくれるので便利だった。
自動券売機は、中途半端ですね。
他社線との乗り継ぎがあると、悲惨だ。
初めてだとどうしていいかわからない。
後ろに並んでたりすると焦ってしまう。
券売機に向かって行き先を告げたら切符が出てくる所までいかないと、便利とはいえない。
二十年ほど前、初めて乗る線の券売機の前で、どうしても行き先の駅名が見つからず、おろおろしてたら、うしろのおばさんが「どこへ行くんですか。・・・それなら、ココを押してこうして・・・」と教えてくれた。
おばさんのいうとおりにしたらアラ不思議、行きたい駅名が現れた。
先日、近鉄難波駅で小さな男の子を連れたおじいさんが、券売機の前で困ってる様子だった。
孫を連れてるだけに、まごまごしてるんだなと感心して見ていたら、おじいさんはこわい顔をして改札口の駅員のところへ行った。
「生駒までの切符、どうやって買うんやっ!?教えてくれっ!」
大声で怒鳴るのは教育上良くないし、生駒まで買うのは難しくもないのであるが、なんとなく同情してしまった。