若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

カネかセンスか

きのうは梅田に出た。

10時前に着いてしまった。
約束の時間まで少しあるので、紀伊国屋書店に行く。
開店前から待ってる人がいる。
開店と同時に、かなりの人が入っていく。

ひろーい店内を一歩進むごとに、店員が、「いらっしゃいませ」とていねいに頭を下げてくれる。

「いらっしゃいませ」のシャワーを浴びているような感じだ。

もう結構ですといいたい。
さっきいってもらったところです。

「いらっしゃいませ」をいうのは、開店後何分間ときまっているのだろうか。
いつのまにやら、「いらっしゃいませ」が聞こえなくなる。

セミを思い出した。
鳴いてるとうるさいが、聞こえなくなるとさびしい。

二冊買って、出口へ向かう。
なんたることか、店員たちは知らん顔だ。
紀伊国屋の袋をさげているのに。
「お買い上げ」とわかるはずなのに。
5000円も買ったのに。

手ぶらで入ってきたとき、あれだけ「いらっしゃいませ」と熱烈歓迎してくれたのに、紀伊国屋の袋をさげて出て行くとき無言なのは、さびしいと思った。

「レオン」という雑誌をはじめて読んだ。
中年男性向けの雑誌だと思っていたが、中年男性向けのファッション雑誌だ。

表紙の右上に、小さな字で、「必要なのはお金ではなくセンスです」と書いてある。
カネはないがセンスはある世の中年男性にとって、心強いお言葉である。

そして、表紙の下の方には、大きな活字で書いてある。

「費用対効果絶大なお買い物スペシャル!!モテる100万円の使い方」

カネはないがセンスはある世の中年男性のかすかな望みを打ち砕く冷酷無比なお言葉である。
表紙から、いきなり支離滅裂である。

「カネではなくてセンス」なのか、「モテるためには100万円」なのか。
中に出ているいろんな商品の値段を見るかぎり、「レオン」は、「モテるためには100万円」といいたいのではなかろうか。

誰がモテるために100万円使うのか。
これ以上もてると困るので、私は使いませんよ。
使うのは「ちょいワルおやじ」だ。

これも、わけのわからんことばである。
「ワル」というと、たとえば、麻薬密売組織の親玉なんかを思い浮かべる。
では、「ちょいワル」とは、麻薬を少量売ってる人か。
ちがうな。

100円ショップで万引きしてる人を思い浮かべる。
そんな人が、モテるために100万円使うかな。
「レオン」の狙いはずれてると思う。