油絵教室三週目。
中高年女性は、「元女学生」的雰囲気をまきちらしている。
「センセ〜、足のかたちがちょっとおかしいんですけど」
「セ〜ンセ〜、ひざが前に出た感じにならないんですけど」
「センセ〜」
先生は非常に忙しい。
始まってすぐ、先生は私の絵を見て、「もう少し明暗をはっきりつけて描いていってください」といわれた。
で、明暗をはっきりつけて描いていった。
終わり近く、先生がやって来て、私の絵を見て、短く、「あ!」と声をあげた。
「あっちゃー」という雰囲気である。
「こんなはずでは・・・」というニュアンスである。
「来週は、一番初めにあなたの絵を見ますから」
目を放せない男だと思われてしまった。
先生の話では、私がしたことのないような描き方を教えてもらえるようだ。
楽しみである。
帰りのバス。
退職後、昼間にバスに乗ると、私は若い部類だ。
ほとんどが、70歳以上の優待券を持っている。
駅前発のバスに乗った。
発車まで時間がある。
一番前の座席に、70代と思える女性がすわった。
続いて、これも70代と思える二人連れの女性が乗ってきた。
すわっていた女性との間で、「あっらー!ひさしぶり!」「まあ!珍しい!」と、身をのけぞらせ、腕を振り上げ振り下ろしての、にぎやかな応酬。
どうしてたの、今日はどこへ行ってたの、から、主人の入院、私の入院という話題へ途切れることなく三人でしゃべりまくる。
元女学生である。
発車時間になる。
運転手が、「動きますから、空いてる席にすわってくださいよ」と言っても聞こえない。
「お客さん、動きますから・・・」
すぐ後ろで運転手が声をかけているのだが、夢中でしゃべっている。
年配の男性が、笑いながら、「聞こえてないんや」
「動きますから、あいた席にすわってくださいよ。あぶないですよ」
と、80代と思える男性が暴発。
「すわってくれて言うとるやないか!」
立っていた女性二人は、怒鳴った男性をちらりと見て、またおしゃべり。
怒鳴られるのには慣れてますね。
運転手はあきらめて、「よろしいですね。動きますよ」
おしゃべりはエンエンと続きました。