バス停のベンチにすわってバスを待ってたら、80代と思える超小柄な女性二人が近づいてきた。
そのうちの一人が、私に何か言うんですが、何を言ってるのかよくわからない。
誰かが倒れてるので助けてほしい、こっちこっち、と言ってるみたいなのでついて行ったら、80代と思える男性が道路に尻もちをついたみたいにすわってた。
無表情であった。
うしろには80代と思えるこれまた超小型女性が、車いすのハンドルを持って、これまた無表情であった。
私を呼びに来た女性たちは、通りがかっただけのようであった。
男性は、車いすから滑り落ちたかずり落ちたかで、平静でもなく困ったでもなく、私はどうなっちゃったのかどなたかご存知ですかという表情です。
ハンドルを握った女性も、えらいこっちゃ!という感じではなく、「これは私に対処できる事態ではございません」と冷静に判断されているようで、落ち着いておられました。
私が男性を車椅子に戻したらいいんだな、と理解致しました。
男性の後ろに回って、両腕の下に手を入れたとき、私を呼びにきた女性が、ボソッと「ひとりではムリですワ」と言いました。
私の体格か顔つきに、不安をお感じになったようですな。
「みんなで力を合わせんと・・・」
みんな?
まわりには誰もいません。
超小柄な80代女性3人ですよ。
私は、「だいじょうぶです」とにっこり笑って、「ふんぎゃ〜〜〜〜!」と叫んで男性を車椅子に戻しました。
「やっぱり男の人やねえ!」
感嘆の声を後にさっそうとその場を立ち去ったのであった。