若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

五年生おめでとう

五年の担任は、淡川ツ子先生。
「つこ」じゃなくて、「つね」ですよ。

私が、二年生か三年生の時、我が校は創立80周年をむかえた。
その記念式典において、淡川先生は、勤続35年の表彰を受けた。

さ、さ、35年!
衝撃。
天文学的数字だ!

漫画なら、「さ、さ、35年!」と言って、目を回してばたんと倒れるところだ。
当時の私の頭の中には、35年という年月は入りきらなかった。

超ベテランの先生である。
超ベテランの女の先生は、小学5年生男子から見ると、完全なおばあさんだ。

だいいち、名前がすごい。
「ツ子」ですよ。

先生は、時々ヘンな言葉を使って私をまごつかせた。
遠足で、宇治の平等院に行ったことがある。
雨が降りっぱなしであった。

先生は、私に、「やまないねえ。よっぽどお精進の悪いのがいるんだろう」と言った。
「お精進の悪いの」がどういうことか理解できなかったが、私は、わかったような顔をして、笑いながらうなずいた。

私は、今もなお、わかったような顔をして笑いながらうなずくことが多いが、雨の平等院鳳凰堂が、その記念すべき第一回の舞台であったことは、実に晴れがましく、誇らしいことである。

先生は、クラスの悪がきたちを叱る時、「一事が万事その調子だ!」と言った。
これも何のことかわからなかった。

こういうとき、私の中で、先生の「おばあさん度」は高まるのであった。

さて、このクラスでは、K君と急速に親しくなった。
「元祖ひょうきん族」みたいな子で、おかしなことを言ったり、ヘンなかっこうをしたりして、皆を笑わせた。
私は、もともと、まじめなおりこうちゃんだったのだが、彼を見ていて、ふざけたこと言って、人を笑わせられるのがうらやましいと思うようになった。

「ワル」ではなかったが、どういうわけか、いやらしい映画をたくさん見ていて、皆に話して聞かせた。
彼が話してくれた映画のタイトルを、ひとつだけおぼえている。
「フランキーの童貞社員」
どんな話だったかは、忘れました。

映画のまねをするのがおもしろかった。
これもひとつだけ覚えている。

プールの時間に、水着姿のMさんという女の子に近づいて肩をたたきながら、「キミ、いいカラダしてるじゃないか。ウチの劇場で踊らないか」と言ったのだ。

怒ったMさんに追いかけられて、逃げ回ってる姿が目に浮かびます。