今日、大阪で、黒いスーツの若い女性の集団に会った。
入学式だろうか。
一番緊張するのは、小学校新一年生でしょう。
親も緊張する。
ウチの長女に「就学通知」が来たとき、「召集令状」が来たように感じた。
かわいそうに、と思った。
私が、小学校に入学した時は、大変にがっかりした。
学校がきたなかったからだ。
幼稚園は、きれいだった。
私たちが一期生の、出来立てほやほや、ペンキのにおいぷんぷんという幼稚園だった。
そして、母が買ってくれた学習雑誌には、その幼稚園をはるかにしのぐ、モダンできれいな小学校の教室の絵が出ていた。
かわいい男の子と女の子たちが、にこにこしていた。
楽しみではないか。
ところが、学校はきったなかった。
教室は薄暗く、机は真っ黒けだった。
真っ黒けだけならまだしも、落書きだらけ、ナイフの切り傷だらけであった。
最初の日、古びた薄暗い教室の、真っ黒け傷だらけ切り傷だらけの机に向かって、おりこうちゃんの私はおとなしくすわっていたが、おりこうちゃんでないやつらは、大声でわめきののしり、机の上を飛んで歩くやつらもいた。
私は、ボーゼンとしていた。
黒板には、赤、青、黄色のチョークで、「いちねんにくみ ながつかせんせい」と書いてあった。
私たちを歓迎するために、無理して、豪勢に、三色使ったなと思った。
天井には、色紙を鎖のようにつないだ飾りが、張り巡らされていた。
しょぼい飾り付けだが、心遣いは感じた。
しばらくすると、上級生のお姉さんが、何か連絡にやってきた。
何を言ったか覚えていない。
「世の中に、こんなに大きな女の人がいるのか!」とびっくりしたことを覚えている。
入学後、かなりの期間、私はクラスになじめなかったようだ。
授業が終わると、近所でなかよしだった二年生の「かっとちゃん」のクラスに行っていたらしい。
母が、先生から、そう注意されたと言ったことを覚えている。
そのうち、離婚騒動で、先生が学校に来なくなった。
いろんな先生が、かわりばんこに教えに来た。
私にとって、小学一年生というのは、なんとも不安で落ち着かない時期でしたね。