乗馬クラブに入って、馬に乗っているというと、皆驚く。
きのうは、四十年来お世話になってる税理士のW先生と会食。
先生をビックリさせよう。
知り合ったのは、先生が税務署を辞めて、税理士事務所を開いて間もないころだった。
今では、W先生も80歳、目もかなり悪くなり、奥さんは骨折を繰り返して入院中、仕事もそろそろというところだ。
張り切って報告。
「え、え〜〜〜っ!乗馬ですかいな!また、えらいこと、はじめはりましたな〜!」
ゴルフもせず、スポーツに無縁の先生だから、ビックリされるとは思っていたが、期待通りのビックリである。
「油絵とか、料理は、まあわかりますけど、乗馬ですか。イヤ、実は、私も学生時代、学校の乗馬クラブに入ってましてん」
「え、え〜〜〜っ!」
こっちがビックリする番であるが、先生のビックリも続いているようだ。
「もう何回くらい?あ、まだ二回目ですか?はじめは、馬に乗るの、難しいでしょ」
「まあ、踏み台を使いますから」
「踏み台!?そんなもん使うんですか!?お殿さんみたいですなあ。あれはね、あぶみに足をかけて、たてがみをぐっとつかんで、はずみをつけて乗るんですわ」
「は、はあ・・・(-_-;)先生は、どれくらい続けられたんですか」
「一年半です。戦争が激しくなって、馬がいなくなったもんで」
「一年半なら、一人で乗るとこまでいきませんね」
「イヤイヤ、すぐに一人で乗せられましたよ。『行って来い!』てなもんですわ。遠乗りにも出ましたしね。足で馬を締め付けるから、足の内側は皮がむけました。蹄鉄のそうじなんか、こわかったですね〜」
なるほど、戦前の学校での乗馬は、スパルタ式ですね。
お客様の安全第一の、現代の「乗馬クラブ」とは、全然ちがいます。
負けました。