若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

私は釣りをしません。

釣り好きの人はたくさん知っている。
Yさんは、磯釣りに熱中していた。
一匹も釣れないこともある。
「ボーズ」というそうだ。
坊さんは魚を食べないという、古典的というか死語的しゃれだ。

あるとき、一匹も釣れずに疲れ果てて家に着いたら、みっつかよっつだった娘さんが、えらそうに、「またボーズか!?」と言ったので、疲れが倍増したと話したことがある。

釣り好き人達の話を聞いて、不思議に思っていたことがある。

釣ってきた魚を、奥さんが料理してくれないと言うのだ。
しかたなく、自分でやる。

夫が海で釣ってきてくれた魚を料理しないとは、どういうことかと思っていた。

二、三ヶ月前、息子がはじめて釣りに行った。
釣れないだろうと思っていたら、海の中の釣堀みたいなところで、大漁だった。

まず、巨大なクーラーボックスを持って帰ったので驚いた。
続いて、クーラーボックスを開けて、また驚いた。

目の下1メートルはあろうかという鯛をはじめ、得体の知れぬ巨大魚がうじゃうじゃ入ってた。

「目の下1メートルもあろうかという」というのは、「目の下1メートルあった」ということではありませんので、誤解なきよう願います。

「得体の知れぬ巨大魚」というのは、私たちが魚の名前にくわしくないというだけの話であって、深海魚みたいなということではありませんので、誤解なきよう願います。

よくもこれだけ釣ったと感心したが、息子に聞いた費用からすると、一匹、四、五千円はついているようであった。

さて、巨大魚を前に、途方に暮れたのは家内である。
あじ、さば、さんまなどはともかく、巨大魚にはこりている。
以前、巨大塩鮭をさばくのに悪戦苦闘したことがあるのだ。

途方に暮れていた家内の顔がぱっと輝いた。
「超巨大魚だけでもお隣に頼もう!」

最近隣に越してきたご夫婦は、大阪で食堂をしていた方なのだ。
飛んで火に入る夏の虫とはこのことか。
恐る恐る電話してみたら、「たい、はまち、ぶり、ふぐ、まぐろ、なんでもOKお安い御用!」

きれいな切り身になって帰ってきた。
他は、家内が悪戦苦闘してさばいた。

きのう、またもや息子が大漁で帰ってきた。
またもや、超巨大魚はお隣に。

家内は、残りをさばきながら、「息子が釣ってきたと思うからするけど、主人やったら、自分でしなさいって言うやろね」