朝日新聞朝刊一面。
不気味な大きな写真。
「カーネルおじさん“救出”:道頓堀川の奇跡」
1985年、阪神タイガースが優勝したとき、ファンというか暴徒というか酔っ払いというか、まあそんな人たちが、うれしさのあまりかあほさのあまりか、ケンタッキーフライドチキンの「カーネル・サンダース人形」を、「六甲おろし」の大合唱と共に道頓堀に投げ込んだそうだ。
きのう、道頓堀川を清掃中にその人形が見つかった。
一面を飾る不気味な写真がそれである。
しょーもない「ニュース」が多い中でも、これほどしょーもない「ニュース」はちょっとないと思う。
盗まれて二十三年間行方不明だった国宝十一面観音が道頓堀の川底で見つかった、というなら「奇跡」といってもいいし、一面を飾ってもいい。
道頓堀に投げ込まれたものが道頓堀で見つかって、何が奇跡ですか。
朝からこんな不気味な写真をデカデカとのせるのはやめてほしい。
三面の「今日の話題」ていどでしょう。
記事にはこんなことも書いてある。
85年以降、阪神タイガースは長期低迷が続き、ファンの間では「カーネル・サンダースの呪い」といわれていた。
失礼ではないか。
カーネルは、誰かを呪ったり恨んだりするような男じゃない。
彼と個人的に付き合いがあったわけではないが、あの顔を見ればわかる。
ファンがあほなことをした罰で、長期低迷が続いたというのが、理屈の上でも感情の上でも納得できる説明ではないでしょうか。
阪神タイガースの社長は、記者会見を開き、お詫びのしるしに、開幕戦でカーネル・サンダースの着ぐるみに打席に立ってもらうと語った。
「始球式みたいに、一球だけですか」
「いえ、三回立ってもらいます。サンダースが三回打席に立って、これがホントの、三打数です」
「えーかげんにしなさい!」
「ほんとにねっ!」