若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

石川九揚2

一行目で、「ブームとなっているとも言われる」と頼りないことを書いたと思うと、二行目では「これにはいくつかの原因がある」ときて、「書道ブーム」は厳然たる事実扱いになってしまう。

さてその原因は。
1.パソコンの普及で書くことがへり、逆に書くことへの関心方が高まった。
2.文字学者の白川静氏がテレビに出演して漢字の成り立ちについて語り視聴者に感銘を与えた。
3.リーマンショックにより西洋文明の持つ限界があらわになった。
4.石川さんが『筆触の構造』を出版し、書くとはどういうことかを明らかにした。

これが原因だと中高年の書道ブームの説明にしかならないと思う。
小学生や中学生が「リーマンショック」で西洋文明に限界を感じ書道をはじめたりするかな。

書道ブームだとしてその原因を探るなら、この五年間に書道をはじめた小学生から高齢者に対してアンケート調査を行うのがいいと思う。

あなたはなぜ書道を始めましたか。
1.字が上手になりたい。
2.親に勧められた。
3.なんとなく。
4.リーマンショックで西洋文明の限界を感じた。

地道な作業が必要だと思う。

1ページ目でカックンときてしまったが、まだ色々書いてある。

「一」と書くには、まず筆を紙につける。これは人生における「出会い」である。筆をつけて横に引っ張る。これは人生における「触れ合い」である。
書き終わりは筆を離す。これは人生における別離である。

「一」を書く中にこれだけのドラマがある、と書いてある。

文具と武具についても書いてある。

文武両道は、三島由紀夫もよく書いた、と書いてある。突然の三島由紀夫登場に驚く間もなく、武具に対するのが文具だ、刀や槍は木の先に刃がついている、筆は木の先に穂がついている、筆の穂は刃だ、ペンは剣より強しという格言はこうして成立する、と一気に突っ走る

筆は剣より強しというのかと思ったら、なぜかペンだ。
この部分など私にとっては支離滅裂だが、石川さんにっては理路整然なのだろう。

石川さんと頭の構造が違うのでしょう。
身体の構造も違うかもしれない。
石川さんは、白隠の書を見て嘔吐することがあるようだ。

石川さんは学識豊かで情熱的な人だ。

ただ、この本には学識と情熱の間に、なんかヘンなものがはさまってる。
受賞した本にはヘンなものがはさまってないのだと思う。