「バックオーライ!」というのはなんとなくなつかしい言葉だ。
小学校の遠足を思い出す。
バスガイドのお姉さん達が叫んでいた。
奈良に引っ越した時、近くに遊園地があって、その駐車場で久しぶりに「バックオーライ!」を聞いた。
遊園地に来た観光バスのガイドさんがバスを誘導する。
いわゆる「黄色い声を張り上げて」誘導する。
「オーラーイ!オーライオーラーイ!」
独特の抑揚である。
大型バスの誘導だからちょっと時間がかかる。
何台も誘導するとますます時間がかかる。
初めて聞いた時、鳥が鳴いてるのかと思った。
笛で誘導するバス会社もあった。
「ピッピー!ピッピー!」
これは味気ないです。
私も大型車の誘導は何度も経験している。
会社も得意先も工場密集地帯にあったから、大型車を誘導する機会は多かった。
意外に思われるかもしれないが大型車の誘導は得意です。
大型車を誘導する場合注意しなければならないのは、というような話ではありません。
きのう、バス停でボーっと立ってた。
道路沿いに病院の駐車場がある。
ほぼ満車であった。
駐車場におばあさんが立ってた。
80代と思える小柄で腰の曲がった、農家のおばあさんという感じの人だ。
乗用車が駐車場に入ろうとして、車の窓から老人が顔を出しておばあさんに何か言った。
おばあさんを迎えに来たのだと思った。
おばあさんは手で示しながら、「頭から突っ込んで、こうバックで入れて」と言った。
おばあさんが手で指した駐車スペースは、ちょっと入れにくそうだった。
おじいさんは車を動かしてバックで入れようとしたが、すぐあきらめて道路へバックし始めた。
すると、おばあさんは道路へ出て大きな声で叫んだ。
「オーラーイ!オーライオーラーイ!」
お、おばあさん!
おぬしできるな!
おじいさんは行ってしまった。
迎えの車ではなかったのか。
次に軽自動車に乗った女性がやってきた。
おばあさんはまた、頭から突っ込んでバックで入れろと指示した。
軽自動車なら楽に入る。
軽自動車がバックし始めると、おばあさんはまた大声で叫んだ。
「オーライ!オーライオーラーイ!・・・ストーーーップ!」
お見事!
おばあさんは、この病院の駐車場の係員なのか。
いや、院長のお母さんで元バスガイドかな。