きのうはデッサン教室。
私が通ってるのは、受験予備校です。
平日の昼なので、いつもは浪人の女の子二人ですが、一月から、「受験直前」ということで、現役高校生がどっと増えて、熱気あふれる教室です。
浪人二人だと、張り詰めた雰囲気で、邪魔をしてはいけないと、息を殺して石膏デッサンに励んでます。
緊張します。
現役高校生が大勢混ざると、空気が和むと言うほどではないですが、まあ、緊張の中にも何となく余裕が感じられてほっとします。
浪人生二人は、ぐっと「おねえさん」ぽくなります。
二人のうち、Aさんはいつも先生に厳しいことを言われて、気の毒に思ってました。
先日、高校生が描き悩んでたら、先生が、「どう描いていいかわからんのやったら、Aさんの作品を参考にしなさい」と言いました。
わ〜い!
我がことのようにうれしかったです。
先生は、浪人二人に対して非常に厳しいです。
まあ、当然ですが。
先生の批評を聞いてると、どうしろと言うんですか!?と二人にかわって言いたくなります。
「色はいいね。質感もよく出てる。空間処理も問題ないな。う〜ん・・・悪いところはないんやけど、コレ!というものがないんやなあ」
美大受験も大変ですね。
きのうは、浪人Bさんが先生に水彩を見てもらってた。
うまいもんだが、いつもにくらべると、影がちょっと気になるなと思ってたら、先生も影が変だと指摘しました。
Bさんは、微笑みながら答えました。
「あの〜、今日はちょっと・・・失敗しちゃって・・・」
「失敗しないで下さい!」
間髪を入れず!という感じで先生は気合のこもった声で言いました。
「この期に及んで失敗しないでください!いい失敗をたくさんしようと言うのは、一ヶ月前までの話です。この時期、一枚一枚、失敗しないように仕上げてください!失敗グセをつけないようにしてください!」
今回は、Bさんが涙を浮かべる番であった。
さて、受験生に刺激されて向学心に燃えた私は、家でも鉛筆デッサンをしたいのですが、卵やコップを描いたらいいんでしょうか、と質問した。
先生は、「う〜ん、卵にコップねえ・・・面白くないですからねえ。まあ、奥さんや娘さんを描かれたらいいんじゃないですか」
冷たいような温かいような答であった。