近所のスーパーマーケットに行く。
昼前のスーパーは、高齢者ばかりだ。
高齢男性が一人で買い物してると、なんとなくわびしい。
ほっといてちょーだい、といわれそうだけど、わびしい。
その高齢男性が、半ズボンとTシャツ姿だと、一段とわびしい。
ほっといてちょーだい、といわれそうだけど、一段とわびしい。
レジに並んだら、かなり高齢の女性が、カネを払ってた。
小銭ばかり、ぞろぞろ出してた。
勘定するのに、時間がかかった。
レジの女性が勘定して、ちがうといった。
高齢女性が勘定しなおすのに時間がかかった。
高齢女性とレジの女性とのやり取りに、かなり時間がかかった。
レジに並んでるのは、時間に余裕のある高齢者ばかりだから、みんなイライラしたりせず、落着いたものであった。
と思います。
高齢男性が、アイスボックスの前で、氷を袋に入れてた。
マグロの刺身ですね。
氷を入れてその男性が立ち去ろうとすると、中年男性が声をかけた。
「刺身ですね。氷より、ドライアイスの方がいいですよ」
アイスボックスの横に、ドライアイスが噴出す機械が置いてある。
中年男性が、そっちを指して教えたが、高齢男性は首を振った。
「私、アレ、使うたことないんですわ」
「簡単ですよ」
といいながら、高齢男性から袋を受け取ると、ドライアイスの機械に移動した。
「氷より、ドライアイスの方がいいですよ。長持ちしますし。氷は、溶けてビチャビチャになるでしょ。ドライアイスはそんなことないですからね。ドライアイスの方がいいですよ」
機械の前に立って、説明する。
「袋を、この取っ手にかけるんです。それから、ドアを閉めます。で、このボタンを押します」
ブッシューッ!と音がして、ドライアイスが入った。
「はい。簡単でしょ」と、高齢男性に渡した。
親切な人だ。
「氷より、ドライアイスの方がいいですよ。ドライアイス、どんどん使ってください。・・・私、ドライアイス屋なんで」
その人は、ドライアイスの機械の横のドアを開けると、大きなボンベの計器を点検しはじめた。