S君の個展に行ってきました。
高校のとき美術部でいっしょだった男で、元天才少年、現国立大学美術教育系教授で、美術の指導者としては立派なもんだけど、それ以外では、単なるヘンな人だ。
困った人といってもいい。
その人の個展となると、「立派系」だろうか、「ヘンな人系」「困ったさん系」だろうかと戸惑う人が多いと思うが、まあ、「ヘンな人系」「困ったさん系」ですな。
とにかく、年がら年中個展をしてる。
千回は超えてると思う。
個展狂というか、個展依存症というか、ほとんど病気ですよ。
友人としてあたたかく見守ってやらねばと思ってます。
個展の案内が来るたびに、私は祝電を打ってます。
「第九百八十三回個展を祝し今後益々のご発展を祈る」
さて、何回目だったか忘れたけど、行ってきました。
今回の個展の目玉として、「一日デッサン教室」を開催するという案内であった。
デッサンが一日でうまくなるというのだ。
これは見逃せません。
美術指導者としてだけは信頼してるので、楽しみにしてました。
楽しみにしてたのであるが、本日の受講生が、私と、中学生の女の子と、小学生の女の子と男の子が一人ずつと知って、かっくんとなった。
S君が、「では、これから漫画の勉強を始めます」と言ったので、再度かっくんとなった。
「デッサン教室じゃなかったのか」と聞いたら、「小中学生が、漫画が上手になりたいと言うので、漫画教室にした」とのことであった。
「漫画もデッサンも基本はいっしょだ!」とヘンに力をこめて言うので、S君を信じて、小中学生といっしょに漫画の勉強をした。
地球儀みたいなのを描いて、それをつなぎ合わせて「人間」にする。
けっこううまくできるもんです。
「では次に、人間の顔を描こう。対照的な顔を二つ描いてみよう。まず、子供と年寄りを描こう。子供の顔は、お互いの顔を見て描いて。年寄りの顔は、鹿之助さんを見て・・・」
「次は、いい人の顔と悪い人の顔を描こう。いい人の顔は、先生を見て描いて。悪い人の顔は、鹿之助さんを見て・・・」
さすがS君、指導者としてだけは立派なもんです。