花ちゃんは、二足歩行を開始したばかりです。
ウチの子供たちを見ていても思ったことだけど、「はいはい」とか二足歩行とか、赤ん坊が動き始めるのは、見ていて面白いですね。
花ちゃんは、十歩くらい、自力で歩けます。
すたすたとは歩けないし、すたすた歩くのを見ても、面白くないでしょう。
よろよろ歩く。
よろよろだけど、うまく歩くもんだと感心する。
「超高層ビル耐震構造見本」を見ているような感じで、よろよろぐにゃぐにゃしながら歩く。
そのまま壁とか机とかにたどり着く時もあるし、どしんと尻餅をつくときもある。
自信を持って歩いているようにも見えないし、自信なさそうでもなく、恐怖心は全然なさそうである。
以前、リハビリ中の兄さんを見舞った人の話を聞いたことがある。
歩行訓練を非常に怖がっていたそうだ。
倒れるのは怖いと思うが、花ちゃんは平気みたいです。
「私は、歩くべく定められています」というような感じかな。
「歩く」なんて、たいしたことないはずだけど、見飽きません。
さて、花ちゃんは、積み木を、「はい」とか「あい」とか言って渡そうとします。
花ちゃんから、お声がかかれば、私は即座に飛んでいって、がばと平伏、「ありがとうございます〜!」と、お代官様からの褒美の一両小判を受け取る百姓のごとくに積み木を押し頂きます。
それが花ちゃんにはご満悦の様子で、何度も「はい」「あい」とお声がかかるんです。
食事中であろうが、飲んでる最中であろうが、そのたびに私はすっ飛んでいって、がばと平伏、「ありがとうございます〜!」と感激をあらわに致します。
下々の喜ぶ姿を見てご満悦の名君といった感じの花ちゃんは、また積み木で遊び始めます。
で、私が御前から下がるのですが、私が充分遠ざかったのを確認すると、花ちゃんは、また、「はい」とか「あい」とか言って、積み木を差し出すのです。
で、またも私がひっくり返りそうになりながら、花ちゃんの前にすっ飛んで行ってがばと平伏、「ありがとうございます〜!」。
その姿を見て満足した花ちゃんは、また積み木で遊び始めるのですが、以下同文。
これをエンエンと繰り返すのは、ほとんど吉本新喜劇定番ドタバタコントという感じで、花ちゃんは、吉本新喜劇座付き作者兼座長として活躍することになるかもしれませんよ。