久しぶりで、要介護老人施設を訪問して、母がいた施設のことを思い出した。
14年間、母がお世話になり、私も通ったのだから、忘れられません、といいたいとこだけど、忘れがちである。
というか、最近やっと忘れがちになった。
我が家から、車で南に行くと、左が阪奈道路、右が母のいた施設という分岐点がある。
母が死んでから、その分岐店に差し掛かると、阪奈道路に出なければならないのに、右に行きそうになって困った。
母がお世話になった施設からの、強力な磁力を感じた。
母がいた間は、別に困らなかった。
阪奈道路に出るときは、スッと左に行ったし、施設に行く時は、悩むことなく右に行った。
当然である。
ところが、母が死んでから、分岐点に差し掛かると、左へ行きたいのに、ハンドルが右に取られるような感じになる。
阪奈道路に出ようとしていて、「イヤ!ちがう!右だ!母のいる施設に行かなければ!・・・いや、ちがった、左だ・・・母、もういないのだ」というような、非常に困った、危険な運転状況になった。
いつも、そんな感じで、イヤだなあと思っていたのであるが、いつの間にか、そういうことがなくなっていた。
そういう、イヤな感じがなくなってみると、さびしいような気もして、何がなんだかよくわかりませんわ。