若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

画家

ローレンス・アルマ-タデマ(1836〜1912)という画家の画集を買って読んでます。

名前も知らなかったけど、二、三年前に買った美術全集で見て、あまりのうまさに驚いた。

どんな人でしょうか。
わかりやすい話が出てます。

1885年、彼の描いた小さな絵が2万ドルで売れたんですが、これは19世紀の絵としては最高の値段だったそうです。

超売れっ子で、60部屋以上もある大邸宅を建ててます。
エジプト風ギリシャ風ローマ風ちゃんぽんの、豪華絢爛とも悪趣味極まりないともとれるもので、雑誌の「セレブの御宅拝見」で評判になった。

「画家」というと、「芸術家」と思ってしまうんですが、そうではなくて、「画家」というと、「職人」「ウデがよければ堅い商売」「一発当たればぼろもうけ」的発想もあります。

というか、「画家は芸術家だ!」というのは、ヘンな人が広めたヘンな発想なのかもしれない。

アルマ-タデマは、15、16歳の画学生時代から、自分の作品に、「作品番号」を入れてます。
「作品番号」というと、「画家」という感じですが、「製品番号」「製造番号」と考えると、「職人」ですね。

えらくなってから、こう言ってますよ。

「私は、描いている間は画家だが、描き終わったら商売人だ」

古代エジプト古代ギリシャ古代ローマを舞台にした作品を描き続けた。
当時のヨーロッパは、ポンペイの発掘とか、エジプトの発掘とか、古代ブームだったんですね。

アルマ-タデマは、何を描かせても上手だったけど、とくに大理石の描写で評判になった。

大理石のアルマ-タデマかアルマ-タデマの大理石か、てなことを言われたんでしょうな

そのころ、ある大金持ちから注文を受けて、できた絵を見せたら断られた。

なぜか。
大理石が描いてなかった。

その大金持ちは、大理石で評判の売れっ子アルマ-タデマの大理石の絵を家に飾って自慢したかったんでしょう。

カックンとなったアルマ-タデマですが、そこは商売人、気を取り直し筆も取り直して描きあげたのが、大理石だらけというか大理石まみれというか、これでどーじゃ!と言わんばかりの作品、「謁見を終えたアグリッパ」、お客様は神様です精神満開の絵とも言えるし、客を馬鹿にした絵とも言えます。

好感を持てる絵は少ないけど、この人がイギリスの「日本協会」の創立メンバーだと知って好感を持ってしまいました。