久しぶりに熱が出た。
風邪のようである。
37度2分。
私にとって致命的な数値だ。
近所のM医院に行く。
行きたくなかったが、行った。
なぜ行きたくなかったかというと、M先生は風邪に冷たいのだ。
「時期がきたら治りますがネ、いちおう、薬出しときます」
37度の高熱に苦しみ、生死の境をさまよう患者に対して冷淡である。
先生の冷たい顔が目に浮かんだが、わらにもすがる気持ちで、よろめく足を踏みしめてM医院に行った。
息も絶え絶えの私にニコニコ顔の先生は、「いちおう薬出しときます」といった。
せ、先生!
今回の私は、いつもの私じゃありません!
立場がちがうんです。
「ウチに新生児がいるんですが、どうしたらいいでしょうか」
「う〜ん・・・まあ、おたくが家を出るのが一番やけど、そうもいかんでしょう」
「・・・」
「マスクをして、手洗いをしっかりすることですな」
なんか、冷たいと思います。