今日は、人物画教室。
前の日曜日に、先生の個展を見に行った。
「安曇野」という題の風景は、遠景に山脈、眼下に田畑という雄大な構図だった。
かなり高いところから見下ろした感じだ。
今日、先生に聞いてみたら、パラグライダーの「基地」みたいなところから見た風景らしい。
なるほど、と思ったが、先生の次の言葉に驚いた。
「Yさんは、パラグライダー、しはるんでっせ」
Yさんというのは、教室の先輩女性で、70代と思える、小さくてコロコロした人だ。
Yさんが、パラグライダー?
先生の勘違いじゃないかと思って、Yさんに聞いてみた。
間違いなかった。
気持ちいいそうです。
こわくないかと聞いたら、自分で操縦するんだから、何もこわくないとのことです。
私が、よほど信じられないという顔をしてたんでしょう、笑いながら、「これでも、スポーツマンだったのよ」。
「誰が、スポーツマン?」と、話に入ってきたのはTさんだ。
やはり70代、大柄というか、教室で一番太ってる。
足が悪くて、歩くとフーフー言う。
しゃべるのも、フーフーいいながらだ。
息も絶え絶えという感じで教室に来る。
Tさんは、丸いすに座って描くのだが、何度か転げ落ちている。
丸いすが小さすぎるのだ。
ご主人をなくして、娘さんと二人暮らしで、娘が何でもやってくれるから助かるといっている。
そのTさんが、目を丸くして、Yさんに、「あんた、フーフー、スポーツマンやったん?フーフー、私も、フーフー、スポーツマンやったんよ。フーフー」
Yさんと私は、声を合わせて、「えーっ!Tさんが、スポーツマン!?」
「これでも、フーフー、若いころはやせてたんよ、フーフー」
小さいときからスポーツ万能で、高校のころは、バスケットボールの選手として大活躍したそうです。
「Tさんがバスケットボールしてたとこ、見たかったですね」
「写真あるよ。フーフー。シュートしてるとこの写真、フーフー、あるよ」
「見せてください」
「火事で焼けた。フーフー、なんていうの、フーフー、隣から火が出て、フーフー」
焼けたのなら、しゃーないですね。