落語や漫才とくらべて、「講談」は人気がないようです。
私の子供のころでも、たまにテレビで見るくらいでした。
でも、「講談調」はけっこう多かったと思います。
講談調の漫画とか物語とか。
小学生の時、「少年講談全集」みたいなのを読みました。
いま、ないでしょうね。
きのう、家内が近所のM医院に行きました。
狭い待合室がすわる場所もないほど大入り満員だったそうです。
そこへ、老婦人がやって来た。
「あらまあ、スリッパがないわ」
知り合いと思える老人が、「わしの、使い」と、自分がはいてたスリッパをぬいだ。
そして、薬剤師でもある先生の奥さんに、「スリッパおませんで。わしのをこの人に貸してあげましたで」と言った。
奥さんは、「あらまあ、木下藤吉郎やねえ」と言ったそうです。
老人は、「そうくるか」と笑ったそうです。
家内からその話を聞いて、講談調やなあと思いました。
奥さんの一言で、M医院の待合室が、一気に昭和レトロ講談世界になる。
ひょっとすると、奥さんも「少年講談全集」を愛読してたのかもしれない。