気候がよくなると、近鉄大和西大寺駅は山歩き姿の中高年で一杯になる。
今朝も一杯であった。
山歩き姿の中高年男女を乗せて、橿原神宮前行き急行が発車。
車内は、山歩き姿の中高年男女でにぎやかである。
次の駅のホームに小学生の集団がしゃがんでいた。
気候がよくなると、近鉄線は遠足に行く幼稚園児や小学生でいっぱいになる。
山歩き中高年男女と遠足小学生男女が合流してものすごくにぎやかになるぞと覚悟する。
ドアが開いて、小学生男女が乗り込んできた。
先頭は、中年の男の先生である。
にぎやかに乗り込んでくると思ったら、静々と乗り込んできた。
実に静粛である。
先生を先頭に、しめやかに車内を移動。
あまり静かなので、小学生の集団登校というより小学生の集団焼香という感じである。
胸の名札を見ると6年生だ。
沈黙を守っているという感じである。
よほど厳しい先生で、よほど厳しく言われたのだろうか。
小学生たちは、自分たちの静粛さがおかしいらしく、笑いをかみ殺して歩いていく。
先生が止まったので行列も止まった。
私の前が最後尾、一番背の高い子だ。
女の子はとくにでかい。
電車が動き出すと、子どもたちはひそひそ声でしゃべりだした。
ひそひそ、ひそひそと、しゃべる。
そのうち、ひそひそ声が小声になった。
小声からは大きくならなかった。
小声で楽しそうに話す。
先生も、まわりの生徒たちと楽しそうに話していて、ムチャクチャ厳しい先生ではなさそうだ。
私の前の一番大きな女の子が、何か言いながら二番目に大きな女の子の肩をぽんとたたいた。
二番目に大きいといっても、一番大きな子とはかなりの差がある。
二番目の子が小声で、「たたいたね」と言った。
小声で、「私もたたくよ」と言った。
そして、一番大きな子の背中を、思いっきり、パッシ〜〜〜ン!とたたいた。
ビックリするような大きな音であった。
男の子たちが、「オオ〜〜!」と目を丸くした。
私も目を丸くした。
たたかれた子は、ニッと笑ってにらんだ。
いい感じであった。