ゆうちゃんは、ウチの長女が生んだ玉のような男の子で、もうすぐ六か月です。
すくすくと育ってます。
色の白いところはママに似てるとか、お目々がパッチリでかわいいところもママに似てるとか、賢そうなところはママに似てるとか、上品そうなところもママに似てるとか、おとなしくて手がかからないところもママに似てるとか、そういうことはあまり言わない方がいいと家内が言うので言いません。
私の胸の内に納めておきます。
運動神経がよさそうなのはパパ譲りかもしれません。
パパは、「雷さんの子」と言われ、生後一週間くらいでベビーベッドの上で暴れて落ちたとか、四か月の時には自分でベビーベッドによじ登ったとか、派手な話題のある人です。
ゆうちゃんも、上品な顔立ちに似ず激しく動くときもあります。
少し前から、仰向けに寝ている姿勢からコロンとうつぶせになります。
うつぶせになって、頭を上げて胸をそらせているところは、オットセイのようにも見えます。
オットセイというには考え深そうな顔だし、両手を前に出して泰然自若という様子はスフィンクスみたいといった方がいいかもしれません。
かわいいスフィンクス、それがゆうちゃんです。
時々謎めいた微笑を浮かべるところは、モナリザのようでもあります。
きのう、そのスフィンクスモードでふとんの上ですましてた。
たまたま、サンサーンスのピアノ協奏曲をかけてたんですが、最後の方の盛り上がるとこ、クレッシェンドというのかアッチェレランドというのか、テンポが速くなって音が大きくなっていくと、突如ゆうちゃんが両足を激しくばたばたさせ始めた。
バタバタバタバタバタバタ!
足を激しくばたつかせるだけでない。
頭を激しく上下左右に打ち振り、身体をよじり、髪をふり乱したいとこですが、振り乱すほどの髪はないのが残念という表情で日頃おとなしいゆうちゃんがのたうちまわりました。
激しい音楽につられて激しく動いたなんてものじゃないですよ。
それはふつうの赤ちゃんです。
見ていてはっきりわかりましたが、ゆうちゃんは指揮をしてたんです。
のってました。
入り込んでました。
鬼気迫る指揮ぶりに家内と二人笑ってしまいました。
↓若き指揮者の像。
長髪のかつらをかぶせたら一人前でしょう。