若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

丹下左膳

電子辞書に入ってる「日本文学1000作品」のおかげで、いろんな作品を読んでます。
著作権の切れた今は知られざる作家のものが多い。
そういうものの中にもちょっと面白いものもあるけど、とくに面白くもない、というのが多いです。

きのうは、「丹下左膳」を読みかけました。
私たちの世代では、丹下左膳の名前はよく知られてると思います。

戦前に大ヒットした小説で映画も大ヒットしたそうです。
私たちにとって、「過去のもの」だったのに、ただの「過去のもの」にならなかったのにはワケがある。

映画に主演した大河内伝次郎という俳優の「物まね」が長く流行ったんですね。
素人参加の物まね番組には、必ずと言っていいほど、「大河内伝次郎丹下左膳」をやる人がいました。

独特のだみ声というかヨロヨロ声で、「シェイは、タンゲ、名は、シャゼン」てなことを言う。
誰でもマネできるから人気があったんでしょうか。

大河内伝次郎、私は見たことも聞いたこともなかった。
聞いたことのない人のマネをされても困りますよ。

今の物まね番組がそうですね。
名前も知らない歌手やタレントのマネをされても困る。
会場のみんなが笑ってるのに、テレビの前で一人憮然としてる私の身にもなってほしい。

大河内伝次郎の物まねに困らなかったのは、若かったせいでしょうか。
困りはしなかったけど、中学生くらいになると、いくら私でも少しは知恵がついてくる。

「はは〜ん、この人は、大河内伝次郎の物まねをしてるんじゃなくて、大河内伝次郎の物まねの物まねをしてるんだな」

それでも大河内伝次郎の物まねはなくならなかった。
私が大学生になっても続いてたと思います。
永遠に続くんじゃないかと思いました。

ある番組で、またもや大河内伝次郎丹下左膳をやった人がいました。
審査員の先生が、笑いながら、「大河内伝次郎さんも、もういいんじゃないですか」と言ったとき、わが意を得たり!という気がしました。

大河内伝次郎さんの物まねがなくなったのはいつのころでしょうか。

物まねの話じゃなくて、小説の「丹下左膳」です。

物語が始まってすぐ、丹下左膳は十数人切り殺します。
想像してたよりはるかに凶悪な男のようです。

手に汗握る場面の連続で息もつかせぬ展開と言ってもいいし、無茶苦茶であほらしい話と言ってもいいと思います。
読む人のその時の気分次第じゃないでしょうか。

切り殺された剣道の先生のお嬢さんの行く末が気になる人もいるかもしれません。
冷たいようですが、私は気になりません。