若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

所在不明

スーザン・ウッドフォード著『絵画の見方』という本を読んでたら、モネの「印象、日の出」が出てました。
この絵は、いろんな本で見かけるから、「また」という感じです。

あれっ?と思ったのは、この絵の説明のところに、「パリ、マルモタン美術館蔵。(1989年現在所在不明)」と書いてあるんです。
所在不明って、どういうこと。
ネットで調べたら、この絵は1985年に美術館から盗まれて、1990年に発見されたそうです。

スーザン・ウッドフォードさんがこの本を書いたのは1983年だから、盗まれる前です。
日本語版が出たのは1989年だから、行方不明の最中です。
で、親切にも、訳者が「現在所在不明」と書いてくれたんですね。

ただ、この本はよく売れて、「1996年第13刷発行」となってます。
ということは、発見されたあとも「所在不明」のままだということですね。
まあいいけど。

「印象、日の出」は、美術館の目玉作品だったので、この作品が盗まれて展示されてないマルモタン美術館は、「間がもたん美術館」と言われたそうです。
(この本には書いてません)

この本で、「肖像画」が取り上げられてます。
15世紀に当時の有名な二人の画家が、一人の女性を描いてる。
似てるといえば似てるし、ちがうといえばちがう。
当然でしょうな。

どちらが似てるかは、わからない。
というか、「こっちが似てる!」と言えるのだろうか、と書いてある。
私が見るAさんと、あなたが見るAさんはちょっとちがうであろうということですね。

むずかしいもんである。
写真もむずかしい。

写真は一瞬を切り取りますが、人間の目は切り取ったりしない。

たとえば、ウチの奥さんは、シャッターが切られる瞬間に目を閉じる名人です。
写真を撮られたうち半分以上目を閉じてる。
その瞬間に合わせてよくもこううまく目を閉じられるもんだと感心します。

一瞬目を閉じたがために、ウチの奥さんは目を閉じたまま永久保存されることになる。
これはおかしい。

デジカメの技術が進めば、閉じた目がプリントアウトしたあと開くようになると思います。

先日の個展に、知り合いのあつ子さんが来てくれて、いっしょに写真を撮りました。
息子のお嫁さんのひでみさんが撮ってくれた。

その写真を見て、「お、あつ子さんらしい」と思いました。
これは不思議な感覚ですね。
説明しにくい。

「これは絵になる」と思ったのも不思議な感覚である。
で、その写真をもとに、あつ子さんの肖像画を描きました。

ひでみさんがその絵を見て、「あ、南京玉すだれの先生ですね!」と言いました。

これには説明が必要である。
あつ子さんは、「南京玉すだれの先生」ではありません。
南京玉すだれを教えてるわけではありません。
南京玉すだれ家元とか、南京玉すだれ名取とか、南京玉すだれ師範とか、南京玉すだれインストラクターとかいうような人ではないんです。

学校の先生です。
趣味で南京玉すだれを習ってるんです。
その事実が衝撃的だったので、「南京玉すだれの先生」になったんだと思います。

↓教鞭を取るのが似合ってるのか南京玉すだれが似合ってるのかよくわからないあつ子さん。