若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

宮本三郎『少年の画室』

インターネットというのは不思議なものというかおそろしいものというか、こういう本の存在を知ることができ、簡単に手に入れることができるんですね。

タイトルを見て「私向けの本じゃないかな」と思って買いました。
あたってました。

「絵画を独習する青少年諸君」に向けて書かれた本でした。

1951年出版の本で、買ったのは1958年版です。
1951年というと、宮本三郎46歳、戦後の画業再出発の時期で意欲満々だったと思います。
そういう時期に「絵画を独習する青少年諸君」に向けて書かれた本ですから、気合が入ってます。

「絵画を独習する青少年諸君」の端くれとして気持ちよく読めました。

時代を感じさせるのは巻末の「キャンバス寸法表」です。
キャンバスの寸法が二通りの数字で示してあるんですが、ひとつは「センチ」、もう一つは「尺」です。

私の子供の頃、お年寄りからは「体重、何貫目や?」と聞かれたもんです。

奇遇というか、この本にアングルの「グランドオダリスク」の模写の話が出てきます。
先日、私が美術予備校で模写した絵です。
まず白と黒だけで描いて、あとから薄く色をつけるという、古典的画法で仕上げました。

宮本三郎が戦前ルーブルでレオナルド・ダ・ビンチの作品を模写してたら、近くで「グランドオダリスク」を模写してる人がいた。
白髪のイタリア人で美術学校の教師だったそうです。

「グランドオダリスク」の女性の「うっすら桜色をした大理石のような肌の色」がどうしても出せなくて、途中でやめてしまった。

宮本三郎は、アングルの時代と現代では描き方が違う、まず白黒で描いて上から薄く色をつけないとああいう色は出せない、と書いてます。

ふむふむ。
それはそうだけど、イタリアの美術学校の先生ならそれくらい知ってても良さそうに思うんですが。
二人の語学力に問題があったのではないか。
この本で唯一疑問に感じた部分です。