良い姿勢というのは難しいもんです。
乗馬を習い出して特にそう思います。
よほど上達しないと良い姿勢では乗れないもんです。
良い姿勢というと、小学6年生の時いっしょの組だった、森田さんという女の子を思い出します。
先生がよくほめたんです。
「森田さんは、いつも背中に定規が入っているような良い姿勢ですね」
聞くたびに背中がヒヤッとしたもんです。
ヘンなほめ方ですね。
先生がほめると、みんながいっせいに森田さんの方を見る。
たしかに、森田さんは背筋をすっとのばしたいい姿勢でした。
注目の的になっても森田さんは慌てず騒がず照れず焦らず、すっとすわっているのであった。
そうそう、森田さんは、布製のグローブを持ってました。
学校で野球するとき持ってくるんですが、当時すでに珍しかったです。
私たちは、「ジャムパン」と呼んでました。
形が似てたんで。
教室では良い姿勢の森田さんでしたが、野球をするときは、へっぴり腰で布製のグローブを突き出すのであった。
姿勢のいいお婆ちゃんになってると思います。