夏の高校野球の予選が始まりました。
今朝の朝日新聞奈良版を見て、おや?と思いました。
どういうことであろうか。
帝塚山高校の吹奏楽部が楽器を忘れたのか。
楽器を運ぶ車が球場をまちがえたのか。
楽器一式盗まれたのか。
騒音に対する苦情でもあったのか。
ちがいました。
「午前中の雨で楽器を学校から運び出せず、この日の応援は楽器なしということに」
吹奏楽部員たちは、「楽器はないけど、できる限りの応援をしよう」と「バスの中で声での演奏を練習。本番では楽器に負けないくらい音をそろえた」
う〜ん。
たしかに雨でした。
でも、たいした雨じゃなかった。
私が美術展を見に行く気になるくらいの雨でしたよ。
よほど雨に弱い楽器なのか。
金管楽器や木管楽器じゃなくて、紙管楽器を使ってるのかもしれない。
ナゾである。
雨の中で演奏というと、私にも思い出がございます。
「鹿せんべい飛ばし大会」で、土砂降りの中、「鹿せんべいツイスト」を歌わされたことがあるんです。
これはもう、はっきり、「歌わされた」と言いたい。
「鹿せんべい飛ばし大会記念ライブ」直前に、猛烈な土砂降りになったんです。
これは中止だろうと思ってたら、テントの中で観光振興会の会長がニコニコと、「鹿之助さん、ほな、いきましょか」と言ったので驚きました。
ほかの役員たちは、ニコニコというより、ニヤニヤ笑ってた。
これが芸人の宿命と思いあきらめて、私はテントを出て、土砂降りの雨の中、野外特設ステージとは名ばかりの地面に敷いた一枚のベニヤ板の上に立ったのであった。
ベニヤ板の上のスピーカーには、ちゃんとビニールシートがかぶせてあった、
私は雨ざらしであった。
キンキラキン豪華衣装はずぶ濡れであった。
誰が見てもあわれで気の毒な姿だったと思います。
あの時の私を見たら、西行ならもののあわれを感じて一首詠んでたと思います。
土砂降りの中、傘をさして聞いてくれた人が十人ほどいましたか。
よほどの善人かよほどの物好きかどっちかですよ。
土砂降りの雨の中熱唱する私を、ヤマハでいっしょだった丑之助くんとせんべーくんが相合傘で、気の毒そうに見てた。
イヤなことを思い出してしまった。
くやしまぎれとかいやみじゃなくて、楽器を大事にするのはいいことである。