乗馬クラブの指導員A先生が転勤だそうです。
「人間力」を感じさせた人です。
ウチのクラブの指導員の主任格の方です。
クラブで、初心者レッスンを受けていたころのことです。
数人が輪になってぐるぐるまわる。
指導員が中心に立って指導するという形です。
若手の指導員が交代で担当してました。
馬はなかなか走りません。
走り出したと思うと止まる。
走りたくないですよね。
馬の気持ちはわかる。
なんかきっかけがあれば止まろうとする。
ちょっと手綱を引いたとか、前の馬に近づいたとか、前の馬が止まったとか、もう終わる時間だとか。
指導員の目の前は走るけど、後ろにくると止まるというような高度な技を使う馬もいる。
基本的に乗り手の力不足なんで、初心者クラスで数頭いっせいに安定して走るのは難しい。
そんなとき、担当指導員が休みで、A先生のレッスンになったことがあったんです。
驚いたことに、馬が走りまくるんですね。
止まらない。
A先生は、中央に立って、「止まらせたらダメですよ〜。止まられたらダメですよ〜。どんどん走らせてくださいよ〜」と、人に言ってるのか馬に言ってるのかわからんけど、声をかけるんです。
馬はエンエンと走り続けました。
レッスンが終わった後、私たちは口々に、A先生はすごい、と言い合ったものです。
みなさんいい大人ですから、自分が馬を走らせたなんて誰ひとり考えてない。
最近でも、たまにA先生の担当になると、私は好調なんです。
A先生に対する私の信頼と馬の信頼の相乗効果だと思います。
あまり担当してもらうことはなかったけど、さびしい転勤である。